ごりん


テレビでは五輪。
ごりんと聞いて
ある夏の日を思いだした。

高校生の頃、
いつも集まる駄菓子屋があった。

別々の高校に通う友だちが
夕暮れ時、次々に集まってくる。

ある日、友だちのリョウが
高校最後の大会を前に
気合を入れるため丸坊主にした
という話を人づてに聞いた。

野球部でもなくバスケ部なのに
丸坊主にするものなのかと、
まだリョウがいない駄菓子屋で
僕たちは盛り上がった。

そして、これから来るリョウの
坊主頭にはあえて触れずに
反応を見ようと約束した。

暇な高校生、最後の夏。

少しすると自転車に乗って
向かってくるリョウの姿が見えた。

まだ遠い。
でも全員が同時に気づく。

なぜか頭が真っ青なのである。

そう、あれは五厘だ。
ただの丸坊主ではない、五厘だ。
坊主というか、地肌だ。

いくらなんでもやりすぎだ。

結局、僕たちは
坊主頭には触れないという
事前に交わした約束を破って
リョウに向かって手を合わせた。

炎天下、自転車を1時間こいで
帰ってきてたリョウの頭は
近くで見ると焼けて赤かった。

遠くだとあんなに青かったのに。

夏にごりんと聞くと
自転車で向かってくる
あの青い頭を思い出す。

ごりんはやはり、
平和の象徴である。


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