免許を取ったばかりの頃
友だちと山奥の公園へ行った。
駐車場に車を停めて、
夜な夜などうでもいい話をする。
思い返しても
狂おしいほど無駄な良い時間。
だたその日行った駐車場には
野犬がいるらしいと噂があった。
野犬が現れたとき
どう闘うかシミュレーションを
各々が披露しているとき
遠くでワン!と低い鳴き声がした。
思い返してもワン!じゃない
ヴァン!くらいの声だった。
野犬だ!そう思った僕たちは
一斉に車に逃げ込んだ。
シミュレーションでは
野犬を秒殺していた誰もが
必死に逃げる。
乗り込んだ車内で
一安心した僕たちは気づいた。
なぜか助手席に
三人乗っていることを。
助手席って三人乗れるんだね。
どうでもいい話をしていた
僕たちに起こるのは
やはりどうでもいいことだった。
どうでもいいっていうのは
どんなものもいいのだと
18年後の僕は思っている。