レシピ


生きるためのレシピなんてない。

中学2年生か3年生の時
ミスチルが出したシングル。
終わりなき旅の歌詞である。

学校の帰り道
その部分を歌いながら
友達が僕に言った。

この部分マジええよな。

僕は、うんと答えたものの
正直よくわからなかった。

何がどういいのか。
そしてその部分だけを、
何度も繰り返して歌う理由を。

ただのええよなじゃなくて
その前にマジとつける理由を。

その帰り道ずっとモヤモヤした。

曲がいいのはわかる。
だから自分も聴いている。

でも自分にとってのいいは
単純に総体的なもので
なんというかこの歌詞とか
そういう観点はなかった。

自分の浅さに気づいて
急に恥ずかしくなった。

家に帰って何度も聞き返した。
その部分を。

さらに言えば
あそこの歌詞もマジええよなって
あした言える場所を探すために
違う歌詞を探しながら聴いた。

結果はよくわからなかった。

どこがどうとかじゃなくて
とりあえず全体的にいい曲。
自分にはそれしかなかった。

それは曲に限らない。

例えばどこが好き?って
好きな人に聞かれても困る。

どこがどうとかじゃなくて
全体的に好きなのである。

もちろんきっかけとか
ここが好きが積み重なって
全体的に好きになるわけだけど
その部分をうまく説明できない。

一度好きになると
全体的に好きになる。

だから
顔も身体も性格も声も
考え方も全体的に好き。
そうなってしまうのである。

なぜあの帰り道を思い出したのか。

わからなかったけど
終わりなき旅がリリースされたのが
1998年10月21日。

そう、たしかに妙に秋っぽい日だった。

そういえばいつも秋が来ると
色んなことへの理解が深くありたいなぁ
と思いながら冬を迎える気がする。

そして冬が訪れた頃には
あぁシチューが食べたいなとか
結局また浅瀬で過ごしている。

そんなことをしていると
今年も早かったなぁである。

自分のレシピはそんな感じである。
中学生から何も変わっていない。


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